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2017/06/28

天才の出現

 噂話の域ではあるが、世界最古と思われる文章が見つかった時、専門家が翻訳に相当な苦労を強いられたらしいが、いったい何が書かれていたかというと「最近の若い奴はなっておらん」という意味であったという。いつの時代も、大抵の若者は馬鹿者であるのだが、最近、「なっている」若い奴がどんどん出て来たから面白い。ことに10代で業界を支える人たちが生まれている。

 

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   今、日本を将棋フィーバーに巻き込んでいる藤井四段。デビュー後、公式戦29連勝という大記録を打ち立てた若干14歳の中学生である。14歳と言えば・・・私の場合、おちんちんに毛が生えて未だ間もなく、「平凡パンチ」を見て女の人のおっぱいはこうなってんのかぁと至極感心し、フォークギターに憧れて買って貰ったもののFコードにぶち当たり、折ってやろうかとキレていた年頃である。脳レベルは、おそらくチンパンジー程度。それに引き換え藤井君。並みいるプロを29人もぶった切るなんて、世の中には、考えられない奴がいるもんだ。こういう天才が出ると、その業界は当然盛り上がる。将棋界では羽生少年の出現も凄かったが、この二人がいる限り、当分、将棋界は安泰だろう。

 

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 低迷する業界を、天才の出現で盛り返した例は多い。青木、中島、尾崎が全盛期を過ぎた男子プロゴルフでは、バブル崩壊も相まってスポンサーが付かず、絶体絶命のピンチであったが石川遼というたった一人の高校生がゴルフ界を救った。女子プロゴルフでは、宮里藍である。日曜午後のテレビ中継が打ち切られた状態を、横峯さくら、上田桃子らとともに盛り上げ、続いてイ・ボミちゃんの出現でゴルフ版韓流ブームを巻き起こして、今や隆盛を極めている。  

 

 天才の出現と言えば、米男子ゴルフのタイガー・ウッズほど強烈なものはなかっただろう。20歳でプロ転向した彼が見せたゴルフは、全く別次元ものだった。彼の繰り出すショットは、高さも飛距離も別物でプロのカメラマンでさえ、ボールを捉えられなかったほどである。例えれば、軽自動車とスーパーカーぐらいの差があった。世界中のファンは驚愕し、尊敬し、そして愛した。ところが例のスキャンダルである。下のほうの話だから性質が悪い。「S〇X依存症」なんて、心身ともに健康な成人男子なら全員だ。特に勝負の世界に生きるアスリートなら、アドレナリン出っぱなしなのであるから、動物的になるのも致し方なかろう。比較的社会的地位の高い私の友人など酷い遊びをしているのを知っているぞ。そう士業の連中など・・・コホン、やめておこう。人間、表があれば裏があるのである。裏の話は、そうっとしておいてやるのが大人だ。

 

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 その昔、石毛ダイエー二軍監督が、キャンプ中に若い選手を集めて話をしている場面をテレビで見た。「今日は、長嶋さんが視察にいらっしゃる。長嶋さんと言えば、プロ野球の宝だ。宝というものは、皆で守っていかなければならん。」と話していた。素晴らしい言葉だと私は感動した。「守る」というのは、敬うということである。この気持ちがない業界は、やがて廃れるだろう。サッカー界では、やっと三浦知良選手にその雰囲気が出てきたが、業界全体の自覚のあるなしによって、今後の運命が決まると言っても過言ではないと思う。タイガー・ウッズは、誰にも守られずスキャンダルにさらされ続け、心も体も壊した。その損失は、途方もなく大きい。

  

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 さて、今や、若い選手の活躍が、どの業界でも目覚ましい。卓球界では、平野美宇、伊藤美誠など、先に行なわれた全日本女子ではベスト8中、6人が10代選手であるという。いつの間にか福原愛ちゃんは、おばさんである。男子でも14歳の張本智和という天才が出て来た。女子スキージャンプの高梨沙羅は中学生から世界のトップを張っているし、陸上界の男子100mでも若手が目白押し、日本人が10秒を切るのも近いという。日本アマチュア界の優れた指導者のおかげだと思うのだが、これらの若い選手たちが、順調に育ち、各界を盛り上げ、日本を明るくしていって欲しいと心から願っている。

 

 ただ、裏も教えられる指導者がどれだけいるか。若くして成功すると、後の人生で失敗する例は枚挙に暇がない。誘惑に晒されるからである。藤井四段も、これから仕事以外で、数々の出来事に巻き込まれるだろう。藤井君、守ってあげるから、僕のところに来なさい。表は知らないが、裏なら・・・。

 


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2017/06/26

他生の縁

 モルディブに住む友人が、日本に帰って起業をしたいというので色々と相談に乗っていた。就労支援事業とネット通販に興味があるらしく、様々なビジネスアイデアやら、商売の基本やらについてSkypeでやりとりしていたのだが、先日、いよいよ帰国したので、多治見に招いて、その筋で飯を食っている三人の社長に引き合わせた。彼女は、相当な刺激を受けたらしく、混乱と興奮をしていたようだが、元々否定的な私とは裏腹に、起業の決意をさらに固くしたようである。

 

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 そう、女性である。言っておくが私の色恋の対象ではない。まあ実質独身の私にとっては、その辺のスキャンダルなど、今更、どうでもいい話だが、世の中には面倒くさい奴もいるので、きちんと述べておく。

 彼女の経歴は、結構、特異である。鳥取県で生まれ、短大卒業後、役場に勤めたものの二年で辞め、韓国へ留学した。ソウルの四大を出て東京で通訳・翻訳の仕事をしたものの環境問題に興味が生まれ、大学院に入学する。在学中、ニュージーランドでのワーホリを経験し、卒業後、環境問題先進国と言われるアイルランドに渡ったが、縁あってモルディブに住みついたという。まあまあの“不思議ちゃん”である。

 

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 私がアフリカに行った折、大韓航空のマイレージを使ったのだが、モルディブの首都であるマーレと仁川の直行便があり、どうせならちょっと寄ってみるか程度の軽い気持ちでモルディブ経由を決めた。ところが、リゾートは宿泊費がバカ高く、島へ渡るにもボートか飛行機で行かなければならず、それも高額で、第一、情報が少な過ぎた。どうしたものかとさっぱり手詰まりした私は、現地ツアー会社にメールを送ったのだが、相手をしてくれたのが彼女だったのである。それがなんとも事務的ではなく“人情的”なメールで、商売度外視して色々と教えてもらったので空港でのアテンドをお願いした。最低の宿泊費と最低の船賃しか出せないと主張する私に対して、オーダー通り探してくれたのだが、後で聞いた話によると、あんまり私が値切るもんだから、宿泊費を間違えて40ドルほど損をしたらしい。それが彼女との縁の始まりである。

 

 さて、三人の社長の名前は伏せるが、言わずもがな、共通して多動性症候群であり、しゃべりだしたら誠に暑苦しい方々である。私の周りには、このタイプがほとんどである、というよりこのタイプしかいない。圧倒された彼女は、経営者という生き物が全てそうだと思ったようだが、一応、否定はしておいた。ただ、こうじゃなきゃやってられないとも伝えておいた。皆が認める一角の経営者は、大概じっとしていなくて高温である。

 

 三人に会った後、「思ったより皆さん、お金の話をされましたね」と彼女は言った。三人のいずれもが、たとえメッキであっても社会貢献性の強い事業で、言うなれば「ソーシャルビジネス」だと断言してもいい。当社がそうであるように、お金は二の次だというイメージが彼女にとっては強かったのだろう。ところが、皆、共通して利益への拘りの話をし、「儲ける」という目標の大切さを説いたのである。社会起業家の口から出た銭の話は、彼女には意外だったのである。

 

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 会社を興して、順風満帆に行く経営者など皆無だと思う。皆、共通して壁にぶち当たり、途方に暮れる場面がある。特に、お金が無いという辛さは、体験した人でないと想像すらできないことだと思う。志を実現するには、お金が必要だという絶対的な事実と厳しさを、起業をする人にはわかってもらいたい、そう思うのは至極自然なことである。

 

 私が彼女の企業に対して否定的だと言ったのは、わざわざ火中の栗を拾う人生でなくとも、ほかの生き方があるだろうと思ったからである。ただ、こういう奇特な人もいないと、世の中成り立って行かないことも事実である。

 お前はどうだったのかと聞かれれば、26歳で起業した時、見事なほど何も考えていなかった。そういうものなのかも知れない、とも思う。冷たい言い方に聞こえるかも知れないが、彼女が起業を言いだしていなかったら、その後、特に会うこともなかっただろう。

 

 袖擦れ合うも他生の縁。多生とも書くが、輪廻の中で人と出会うと、私は思うようにしている。おそらく前世で彼女にお世話になったのだろう。恩返しである。お金も経験も知識もコネもない彼女が、何かを始めようとしている。応援せねばなるまい。その節は、協力乞う。

2017/06/22

学生からの質問

 先日、とある大学で、ひとコマいただき話をさせてもらった。テーマは、コミタクを起ち上げた時の経緯と会社理念についてであるが、例によって自分がアホな人生を送って来た話を、どうしてもしなければならないので、学生さんたちにとっては、少し驚いたことだと思う。


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 講義の数日後に、受講された皆さんから「感想と質問」なるものがメールで送られて来た。相当な数なので、正直読むだけで骨が折れたが、これが結構面白い。若い人は、やはり素直な人が多い。率直な物言いのものが多く、感想や質問のレベルはさておき、清々しかった。質問のいくつかを紹介しよう。義務でもあろうから、私なりの答えも書き込んでみたが、答えになっていないと我ながら思う。さあ、あなたならどう答える?

 


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Q.従業員の方は、皆幸せを感じていますか?

A.ドキッとするような質問だが、経営者としてそう信じたいし、そうなるように努めているものの、それはたぶん無理でしょう。人を幸せにすることなど他人にはできないと思う。できるとするなら親に対してぐらいでしょう。あなたが生まれただけで親は幸せだからね。

 

Q.自分はまだ2年で、やりたいことを見つけるために大学に進学しましたが、まだやりたいことが見つかりません。どうしたらいいですか?

A.本当に見つけようと思っているのか?何かして、ああ気持ちいいと思ったことはないのかね?気持ちよさそうだなあ~と思ったら、まずは気持ちよさそうなことをしなさい。想像どおり気持ちよかったら、もっと気持ちよくしようとしなさい。そう、罪悪感なんていらないから。

 

Q.会社には週に2回程しか行かないと仰っていましたが、何をしているのですか

A.最近、自分でもよくわからないんだ、何やってるか。本を読む、映画を見る、ブログを書く、ゴルフに行く、人と会う、昼寝する・・・何ということもなく、一日があっという間に終わるんだ。ただ、嫌なことは一切していないね。羨ましいだろ怠け者って。

 

Q.自分の好きなことをするためにもその時お金がないとできないと思うのですが、お金がないときはどうしたらいいですか?

A.君、相当な勘違いをしているね。お金なんか自分が持っていなくても他の誰かが持っている、そういうもんだろう。だったら持っている人からもらいなさい。ん?どうやってもらうのかって?まあ、多少の知恵と人間力が要るね。そう、それこそがビジネスなんだよ。

 

Q.最近の若者は元気がないと言われます。以前の若者が元気だった理由は何でしょうか?

A.今より情報がなかったら、単純にアホだったんでしょう。情報がなくて好奇心があれば、好きなように妄想するわな、妄想は楽しいからな、元気になるわな。「若者、馬鹿者、よそ者」が世の中を変えるっていうからね。今の若い人たちは、利口な人が多いということでしょう。

 

Q.自分の好きなことは野球なのですがそれをどのように社会につなげて言ったら良いのでしょうか?

A.野球は素晴らしいスポーツだからね。まずは地域の子供に野球を教えるだけでも十分じゃないか?え?それじゃあ食えないって?そうでもないでしょ。食っている人いっぱい知っているよ。ウチへ来いよ、午後3時にあげてやるから。そういうところからでしょ。

 

Q.資本主義を「狂っている」とおっしゃっていましたが、何か代わりとなる経済体制のお考えをお持ちですか。

A.持ってるわけないだろ。そういう質問は人を選んでしなさい。

 

Q.自分としては失敗はとても怖く、いつも怖気づいてしまいます。やはり何事にも失敗を恐れずにやらない事には始まらないと思うのですがそういった場合はどうしたらいいでしょうか。

A.新しい事業を起こす時、右から左まであらゆる可能性を考える。その全部に打つ手を考えてみる。案外、打つ手は意外とあるもんだ。こうなったらああすると決めておく。もちろん10通りでは済まない。それでも最悪のシナリオとなる場合がある。その時だよ、問題なのは。実は最も重要なのはキッパリ止めることなんだ。凡人には、これができない。ダラダラとどうしようもない所まで行く。だから、考えてご覧、本当は失敗なんてないんだ。止めることを想定して始めれば、失敗なんて絶対ないんだ。また始めればいいからね。また、やり続けられるようにすることさ。コツは案外、簡単だよ。

 

 これを機会に「龍ちゃんの相談室」なんて立ち上げようかね。もちろん、無料の代わりに一切責任を取らない。ただし、無料だが貢物は甘んじて引き受けよう。もちろん「わ・た・し」っていうのもアリにしよう。はん?男はいらん!

 

2017/06/17

飛行機が好きだ VO.2

 飛行機が好きだ。と言いながら、いや直接的にではなくて、“あの”待遇が好きだけなのかも知れないと、ふと思った。

 世の中に商売数あれど、ある一定の基準でお客を選別し、あからさまに分け隔てする商売も少ない。「ある一定」とは、お金をたくさん払った人と、そうでない人である。わかりやすいと言えばわかりやすいが、どちらもお客であるのに、提供するサービス、対応待遇は、天と地の差がある。常識的に考えれば、お客の方も怒りそうなものだが、航空会社に限って文句は出ない。区別ならまだしも、あれは差別の域である。そう疑問に思わない人は、差別の実態を知らないのであろう。

 

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 通常、機内の座席は3クラスある。ファーストクラスとビジネスクラス、そしてエコノミークラスである。最近では、航空会社によって、呼び方を変えているところもあるし、また、エコノミーとビジネスの中間クラスを設けている会社もあるが、いずれにしてもクラスごとの待遇がまる違う。ファーストクラスは、これはもう別格で小さな飛行機では設定すらないので、一般的に体感するのは、ビジネスクラスとエコノミークラスの差である。

 通常、ビジネスクラスはエコノミークラスの3倍から10倍の運賃が設定されているが、まずはシートの装備がまるで違う。最新機材ではフルフラットになり、隣席に触れないように個室風になっているものが多い。次に食事だ。きちんとテーブルセットがなされ、“本物の皿”で提供される。離陸前にメニューが渡され好きなものをチョイスするのが一般的だ。お代わりどころか、全部持って来いと言っても許される世界である。ワインリストもあり、ベーシックなカクテルなら大体対応する。エコノミーの“餌”とは別格のものであり、出し方さえ違うのである。

 

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 他にエコノミーとの違いと言えば、空港でラウンジを利用できることも大きい。飯も酒も食い飲み放題。豪華な応接セットに身を沈め優雅な気分に浸れる。チェックインも専用カウンターで、長蛇の列に並ぶこともない。搭乗時には優先して席に案内され、到着後には、預けた荷物は最初に出て来る。こういう目に見えるものの他に、職員の態度が違うということもある。何かものを頼んでも、あからさまに対応が違うのである。搭乗券は、黄門さまの御印籠と同じ効果を発揮するのである。

 

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 この特別扱いを、一度でも経験してしまったら、ほとんどの人は中毒になるだろう。だから、エコノミーの10倍するような銭を出す人も現れるのだが、誠にしたたかな航空会社の営業戦略に、どっぷりハマっているとも言えるのである。え?お前、ビンボーなのに何でビジネス乗れるのかって!?・・・ああ、私はビンボーである。未だかつて、ビジネスクラスの運賃など、まともに払ったことなどない。実は、CAを手玉に取り、地上係員を愛人にすれば・・・なわけなかろう。あったら空港に住むぞ、俺は。

 

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 ビンボー人でも胸を張ってビジネスに乗ることが出来るしくみを航空会社が作っているのである。金持ちを虜にするばかりか、貧乏人にもニンジンをぶら下げている恐ろしいまでのしたたかさであるが、ご存じマイレージクラブというやつである。これが飛行機に乗ってポイントが貯まるというだけでなく、飛行機に乗らなくても貯まるからニンジンとなる。行く行く伝授はするが、私が年に一度の割でビジネスに乗り海外へ行けるのは、このマイルと呼ばれるポイントを、あくまでも日々せこく、ヒシヒシと涙ぐましいまでの努力で貯めているからである。とは言っても効率的に貯めようと思うと、結構複雑な技術が要るから、このブログで今後ゆっくりと説明しようと考えている。乞うご期待である。

 

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 ここ数年、LCCの台頭で航空業界は大きく様変わりしたが、一概に成功したとは言い切れないだろう。ただでさえ狭いシートを更に狭くして多く乗せようというのである。私のような体では、一度座ったら化石状態、息をするのもやっとである。あれが受け入れられるということは、世の中には、いかにM体質の人が多いかということだ。それにしても航空業界は実に面白い。鼻くそどころか、チリ扱いから王様待遇まで、幅広い商品ラインナップである。たとえチリでもお金を払っているお客様なのだが、お金を払わず客でもないやつが王様面できるのだから愉快である。なにせ搭乗券には「コイツはマイレージで乗っている貧乏人だ」とは、どこにも書かれてないからね。やっぱり私は飛行機が好きである。

 

2017/06/13

午前1時のカレ天うどん

 セントレア国内線の保安検査場入口には、午前7時過ぎだというのに長蛇の列ができていた。8時10分発松山行きに乗る私は、アホらしくて並ぶ気にもなれず、「朝から生」を決め込んだ。長い列に並ばなくとも、時間になれば向こうから迎えに来る。そういうしくみになっているのである。


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 松山へ行くのは、「土木計画学会」に参加するためであるのだが、今回は高松に立ち寄ることのほうがメインとなった。K高専のM先生から電話があり、松山に来るなら高松に寄って、若手経営者に喝を入れる話をしてくれという。元々、同業者からは嫌われ者の私である。適任だとはとても思えないが“若手”と聞いて引き受ける気になった。未来のある若者たちである。悪いことは言わないから、タクシー会社など今すぐ辞めなさいと引導を渡すのが先輩経営者としての誠実な務めだろう。もはや地方のタクシーに未来などない。特に中小零細企業にとっては、厳しい現実が目の前にある。それを誰も口にしない業界である。私が言わねば誰が言う。

 

 松山に3日滞在し、少しの勉強と学者先生たちとの宴会と、間に鯛めしや鯛だしラーメンを食らい、坂の上の雲ミュージアムに少しがっかりしながらも司馬先生の偉業に感心し、じゃこ天と弁当と缶ビールを買込んで、予讃線で高松へ向かった。

 

 松山飛行機 (2)

 

 松山飛行機 (3)

 

 高松ではタクシー協会A会長直々のお出迎えを受けて恐縮したが、待ち合わせ場所にはM先生の後ろに見なれた顔の方がいた。あれ?倉木麻衣を嫁にするという野望を持つO大学のO先生ではないか。昨日までいっしょにいたのに、ナニ。多忙ではこの業界で全国一二を争うお方である。くだらん私の話を聞きに高松まで寄っていただけるとは光栄ではあるが、後悔されないことを祈るばかりである。ちょっとうれしかったけどね。

 

 さて、講演は予定時刻通りに始まり、身も蓋もない話になっていることに自身で気付きながら、約75分捲し立てた。耳の痛い話を随分申し上げたが、皆さん熱心に聞いて下さった。何より気分が良かったのは、美しい女性がひとり、席に混じっていたことが大きかった。講師なんてそんなもんである。それだけで調子に乗る。だから、人前であることないことペラペラしゃべる奴にロクな奴はいないのである。もちろん私はろくなやつではない。

 

 さて、問題はそこからだった。懇親会である。講師を囲んでの懇親会など、お互いに微妙な距離を保ち、愛想笑いの応酬で程なくお開きとなるのが常だが、恐ろしや高松タクシー協会若葉会は、それを許してはくれなかった。とことんであった。敵は、20代~40代の現役である。今や懐かしい「昭和の飲み方」なのである。小洒落た居酒屋での一次会は飲み放題タイムリミット一杯まで盛り上がり、二次会で高松嬢に鼻の下を延ばした後、2回目の「次行きましょう!」でロシアンとかいう名前の店の扉を開けると、明るいフィリピーナが出迎えてくれた。並んで「タラッタイマテ~」というチャイニーズ嬢が笑っている。どこがロシアだよ、と突っ込むと奥から「私がロシアよ」と3ラウンドKOを喰らったナブラチロアのようなおばさんが出て来た。高松は奥が深い。

 

 3回目の次行きましょうでは、シメだシメっ!と若葉会T会長が叫んでいた。どこが若葉だよ。シメはうどん、本場っすから!カレ天8人前~!って、カレ天!?カレーうどん天ぷらのせである。時刻は午前1時過ぎ。明らかにイカンやつである。しかも有無を言わせぬ会長の統率力。全員カレ天。私の舌を滑らかにしてくれた美人C嬢も「私食べられなぁーい」などと無礼なことは言わない。何食わぬ顔で目の前に出されたカレ天に箸を突っ込んだ。見た目は当然茶色系のグロい丼ものである。ところが、やはり自信を持って会長がいうだけのことはある。う、うまい。あっという間に汁まで飲み干して完食である。絶対イカンやつなのに。

 

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 かくして翌朝に予定していた私の「朝うどん」計画は中止となり、ドリフを見た後にはすぐ寝る習慣の私には、「午前1時のカレ天」は、予想通り身体に多大な影響を与えた。それでも20年前には毎晩こんなことをしていたなと自分を振り返ると、徹底的にお付き合いいただいた皆さんには頭が下がる。最近の私は、人との付き合いを意識的に避けていた。しんどいし、面倒くさいからだ。しかし、気持ちのいい人たちとの酒は、やはり気持ちがいい。思い出せないほど久しぶりに実に楽しい夜だった。高松の新しい友に、心より感謝である。彼らは、岐阜に来ることを約束してくれたが、果たして味噌煮込みうどんにどんな罵声を浴びせるのだろう。楽しみである。

 

 ひとり真夜中の商店街のアーケード下をホテルに向かって歩きながら、どんな未来が来ようと彼らは対応できるような気がした。変化に対応できるのは、「よそ者、馬鹿者、若者」だという。そうだ、彼らのような若者がいる限り、この業界も捨てたもんじゃないのかも知れない。心からそう思った高松の夜である。

2017/06/06

飛行機が好き VO.1

   飛行機が好きだ。旅に出る時の空港に向かう昂揚感は、他の交通手段では味わえないものがある。自分の体が宙に浮き、窓から見える街がどんどん小さくなって行く。やがて雲を抜けると空はとことん青く、太陽は嫌というほど眩しい。飛行機の窓から見る景色は、本当に現実なのかと疑うほど非日常的であり美しい。それが旅なのである。

 

   そら

 

   ただ、高所恐怖症の私は、飛行機に乗るたび、ある覚悟をする。落ちても後悔すまい文句は言うまい。だって、あのデカい機体が空に浮かぶのである。浮かんでいるものは落ちるのが自然の原理。実は科学者でも何故飛ぶのかはわかっていないと、ある東大の先生が書いた本の中で読んだ。一定の形で一定のスピードを出すと、それは宙に浮く、という結果が全てである。ともかくも飛行機は、数ある交通機関の中で一番安全だと言われるが、それは真っ赤な嘘である。単に事故率の問題で落ちないと言っているのだが、いや飛行機は落ちる。知っていて乗る。私は、その覚悟を、毎回すると言っているのである。

 

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   嘘と言えば、航空会社は、お客に数々の嘘をつく。ある国内線に乗り、座席に空席が目立ったので、私は一旦座った席を立ち、通路を挟んで向かい側の席に移った。悪いことに、バッチリ乗務員に見つかった。彼女は私にこう言った。「機体のバランスが崩れますので、元のお席にお戻り下さい。」って、はあ~!?機体のバランス?何トンもある機体のバランスが、私が動いたことで崩れる!?まあ確かに私の体重は、0.1トンあるからスレンダーな女性の二人分ということにはなるが、いやいや、バランスが崩れることはないでしょう。あのね、私も運転手の端くれですからね、60人乗りのバスを運転しますけれども、車内で人が動いてハンドル取られましたって経験はありませんよ。10人乗りぐらいのセスナならまだわかるが、スッチーは、何故、そのような嘘を付くのか。えっ?スッチーはスッチーだよ。スッチャーデス!ん?CA?ふん、何がシーエーだ。キャビンアテンダントなんて舌を嚙むようなめんどくさい名前を付けるんじゃない!ったく。

 

  機内

 

   禁煙にまつわる嘘も平気でつく。燃料に火が移る可能性がありますので、機内での喫煙はご遠慮くださいだぁ~!?たーけこけ!移るかそんなもん!あんたねー、常識で考えてごらん。ジェット燃料が客室内に充満するとでもいいなさんのか?それ聞いたらエアバスで汗水垂らして機体組み立てているおっちゃんは泣くよー。そうそう、電子機器による電波障害もきっと嘘だね。離着陸の時に、あちこちで電話してられちゃあ困るから言ってるだけでしょ、あんなもん。そこんとこどーなのよ、愛ちゃん?本当のところは。ん、ナニ?突然フルなってか、まあ、そうだね、じゃあ今度二人っきりで。はあ?いいんだよ、誰でも。いいから気にするな。聞き流せ、いやいや、読み流せ。

 

   それでも飛行機が好きである。コレでも食っとけ貧乏人!とエコノミー席で餌のように渡される機内食も、足首と手首ぐらいしか動かせない狭いシートも、クォーッととんでもない音のする非快適なトイレも、そりゃあまあ色々あるが、私は飛行機が好きなのである。

 

   最近は、LCCがたくさんできて、航空業界の常識をひっくり返してくれるから面白い。どこかのミニスカートは中止となって誠に残念だが、今やTシャツにジーパンが制服というLCCもできた。中には、タメ口のようなスッチーや定年後のババアのごとき奴もいるが、まあそれも愛嬌である。

 

き

 

 

   先日、着陸後、バスへの乗継時間がなく、もし乗り過ごせば空港で泊まらなければならない状態だった。間に合うかね?と乗務員に尋ねたら、ハッチが開いたとたん、私とダッシュで並走し出口を案内してくれた。息絶え絶えに「そこを左に曲がって階段を下りてください。」と走りながら教えてくれた彼女に、もう大丈夫と言うと、立ち止まった彼女は、「どうぞ、お気をつけて~」と私の背中に叫ぶように言った。振り返ると彼女は、ゴールしたマラソンランナーのように倒れそうになりながらも、私に向かって手を振っていた。オレンジ色の航空会社である。たぶん、青色の所は落ちたのだろう。私は、飛行機が好きである。

2017/06/04

大日落語会に思う

   私の友人に、Yくんという熊がいる。いやいや、私の友人に熊のような風貌のYくんという男がいる。不動産鑑定士という土地建物の相場を操る怪しい職業の彼であるが、趣味が高じて数年前から落語会を開くようになった。事務所が大日町にあるという安易な理由で「大日落語会」というもっともらしい名前を付け、年に数回、主に日本料理屋さんの座敷を借りて、いわゆるライブを開いている。

 

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   先日、橘屋圓太郎師匠と春風亭一蔵さんを招いて、多治見を代表する老舗料理店である松正さんで、落語会が開かれた。第4回目である。この熊くん、口は軽いが人望に篤く、貧乏なくせに市内の大御所とネットワークを持っている。他人の弱みでも握っているのだろうか、毎回結構な動員力を発揮する。例によって、今回も会場は満員盛況であった。

 

   高座に上がった二つ目の春風亭一蔵さんは、とにかく声がでかい。若い落語家らしく、元気で明るいのがいい。そして、真打、橘屋圓太郎師匠は、女形の演技が良く、とても笑わせてもらった。いずれもさすがプロである。落語も当然ながら、客いじりも慣れておられる。それぞれ二席ずつ、披露されたが、とにかく笑いっぱなしの2時間であった。

 

   どうやら現在、相当な落語ブームらしい。落語家と呼ばれる方は約800人おり、江戸時代以降で過去最多の人数だという。ただし、実際に食えているのは上澄みの100人であるともいわれている。

 

   ご存じのとおり、落語界は師弟制度で成り立ち、下積みが随分と長いらしい。まず、師匠を見つけて入門し、雑用一切をこなす「見習い」から、寄席の「前座」に昇進し、ようやく一人前の落語家として認められる「二つ目」になるまで最低4年。これで一応、雑用から解放されるものの、師匠から手当としてもらえていた「小遣い」はストップ。あくまで仕事はフリーであるから、厳しいサバイバル競争に突入である。そしてここから、「真打」と呼ばれる弟子の取れる師匠になるまで約10年かかるという。世間では、真打でなければ落語家としては認められないから、相当厳しい10年だと思う。

 

   とはいうものの落語家には定年退職はない。30代で引退を余儀なくされるスポーツ選手とは違い、生涯現役である。長く続ければ続くほど、勲章や人間国宝に近づく長寿職業なのである。もちろんそれは、たった一握りの人しか当てはまらないのだろうが、入門する若者が後を絶たないというから、魅力のひとつとなっているのだろう。

 

   さて、その修業時代の印象深いエピソードを、以前、立川晴の輔師匠から聞いたことがある。熊くんが早くから目を付けた落語界のホープである晴れの輔師匠は、テレビ出演も多い立川志の輔に弟子入りした。非常に厳しい師匠であったようだが、ある朝、新幹線のホームで「おい、あさひを買って来い」と師匠から言われたらしい。「はい」と返事をしたものの、一口に「あさひ」と言われてもキオスクでは、「アサヒビール」「朝日新聞」「週刊朝日」「朝日牛乳」・・・色んな「あさひ」が売っている。師匠に聞き返そうものなら、とたんに雷が落ちるので怖くて聞けない。一事が万事、こういう場面が日常的であったらしい。その場の空気を読み、師匠の頭の中を想像する。素晴らしいことではないか。どの「あさひ」なのかが、人間力を成長させる。マニュアルがどうのこうのでは、人は育たないのである。確か正解は、「朝日新聞」であったような気がするが、それは忘れてしまった。その師弟関係の修行の仕組みに、大いに感心したのである。

 

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   今の世の中では、修行を嫌う傾向が強い。すぐに理不尽だ、不公平だ、パワハラだとやかましい。しかし、芸であれ技術であれ、一流のものは、厳しい努力の結果にしか生まれない。師弟制度、大いに結構なのである。今話題となっている、ひたすら働かないことを目指す「働き方改革」は、日本人を骨抜きにする欧米の仕組んだ罠だと、早く気付くべきなのである。

 

   さて、そろそろ私も弟子を取ることを考えてみようか。自分に優しい師匠であるから、弟子入りした人は、必ず成長すると思うよ。

 

 

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